『妄想アンソロジー式ミステリガイド』
出版社:書肆侃侃房
出版年月:2023年12月
ISBN:9784863856066
『このミステリーがすごい!』や『ミステリが読みたい』のランキングが発表されるこの季節。詩集を時々買っている書肆侃侃房の公式HPでこの題名を見かけ、e-honで衝動買いしてしまった。
勢いで買った事もあり、スタニスワフ・レムの『完全な真空』のように存在しない本の紹介とかされたらどうしよう……と心配したが、実際の内容は架空のアンソロジーの企画を考え、その内容を紹介するという形式のミステリガイドだったので、それぞれの個性を楽しみながらスルスルと読む事ができた。このアンソロジーのテーマがかなり尖っていて、簡単に思い浮かぶ『密室』や『叙述トリック』など王道なテーマではなく、『世界のUMA小説大図鑑』や『満州ミステリ・アラベスク』などミステリ以外の知識やミステリの歴史に詳しくないと出てこないテーマが25個あり、飽きる事がなかった。特に気に入ったのは法月綸太郎さんの『パリンプセストの船——メタハードボイルド全集(第一期)』で、恥ずかしながら「ネオ・ハードボイルド」というジャンルを知り、ハードボイルドがメタられていた時代があった事に衝撃を受けた。人気ジャンルである以上メタられるのは当然なのだが、なぜかハードボイルドには不可侵で確固たる立場があるように感じてしまう。
また、紹介された作品の中で最も気になったのはガルシア・エリックの”恐竜ハードボイルド”シリーズだ。『Anonymous Rex』、『Casual Rex』、『Hot and Sweaty Rex』と3作出版されており、和訳がヴィレッジブックスから『さらば、愛しき鉤爪』、『鉤爪プレイバック』、『鉤爪の収穫』と出版されている。しかし、出版元が出版事業から撤退しているため重版する未来がなく、原書も電子書籍でしか手に入らないので英語を頑張るしかない。
メタハードボイルド全集(第二期)の存在が匂わされていたのでミステリ雑誌『ジャーロ』に手を出したい気持ちがあるが、これ以上定期購読の雑誌は増やせないので、好きな作家のインタビューが載ったら試しに1冊買ってみるつもりだ。
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